【新興国に翔ける】アジア市場は「間口」の獲得が鍵 (1/2ページ)

2014.11.25 05:00

伝統的小売りの店先に並ぶ欧米製品=フィリピン・マニラ(筆者撮影)

伝統的小売りの店先に並ぶ欧米製品=フィリピン・マニラ(筆者撮影)【拡大】

 □スパイダー・イニシアティブ代表 森辺一樹

 食品や日用品などの一般消費財メーカーがアジア市場を獲得する上で最も重要なことは、いかにして中間層の購買チャネルとなる「間口」を増やせるかである。

 間口とは、自社の商品が陳列される小売りの数を指す。当たり前のことだが、消費財メーカーにとって売り上げやシェアを伸ばすには、間口という横軸と「一間口当たり販売数」という縦軸のほかにない。やっかいなのは、この間口がアジア新興国では大きく分けて2つ存在することだ。

 一つは、スーパーやハイパーなどの近代的小売りの間口。もう一つは、伝統的小売りの間口だ。国によって差はあれ、大半をこの伝統的小売りが占める。例えば、インドネシアでは伝統的小売りが250万店も存在する。フィリピンでも70万店、ベトナムでも50万店が存在する。

 比率でいえば、近代的小売りの間口など1%程度にすぎず、99%は伝統的小売りの間口となる。もちろん、これも国や商品によって差はあるが、およそ1%の近代的小売りの間口が金額ベースで市場の2~3割の規模を持ち、99%の伝統的小売りの間口が市場の7~8割を占めるという考えがベースになるだろう。

 このような市場では、すべての近代的小売りの間口に商品を陳列しても、競合他者と戦いながら、シェア20%を獲得することは不可能である。そして、シェア20%以上を取れなければ、苦労の多いアジア新興国市場に出る意味がなくなる。

 日本企業の中には、伝統的小売りが近代化するまで待つという企業もあるが、向こう50年でその比率がひっくり返るとは考えにくい。仮にそうなったとしても、アジア新興国の最大の魅力である中間層は、伝統的小売りで慣れ親しんだ商品を買い続けるだろう。

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