一方で、回復の足取りが重かった衣服など身の回りの消費には変化の兆しも出始めている。株高に伴う資産効果で富裕層を中心に需要が戻りつつあるためだ。百貨店では、松屋銀座店の11月売上高(16日現在)が高級ブランドバッグや秋冬物衣類の好調により、前年同月比で10%増加した。
円安を背景に企業の投資意欲にも改善の兆しが見られる。日銀の9月全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業全産業の平成26年度の設備投資計画は前年度比8・6%増と7年ぶりの高水準を記録。9月の機械受注統計も、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額が4カ月連続の増加と回復の兆候を示した。
ただ、先行きの景気リスクは払拭できていない。急速な円安の影響などで食料品の値上げが相次ぎ、家計の負担は増している。
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「(再増税の延期を決めた場合でも)消費の回復ペースが一気に強まるには至らず、当面の国内景気の持ち直しペースは、緩やかなものにとどまるだろう」とみる。再増税延期後の日本経済も、バラ色一色とは言い切れない。