今年7~9月期の国内総生産(GDP)の結果は、4月の消費税増税が日本経済に与えた打撃の大きさを裏付けた。消費税増税に賃金の改善が追いつかず、個人消費の回復が遅れたためだ。円安による輸入物価の上昇も重なって個人消費の反発力は弱い。企業業績は堅調を保ち、再増税延期で景気の好循環が強まる期待もあるが、先行きは楽観できない。(尾崎良樹)
「財布のヒモが固く、なかなか販売に結びつかない」。首都圏のトヨタ系販売会社では、11月前半の受注実績が前年同月比で半減近くまで落ち込んだ。消費税増税から半年あまり、一定の回復が期待されたが、同社幹部は「ここまで落ち込みが長引くと、もう反動減とはいえない」と首をかしげる。
消費税増税後は高額な耐久消費財ほど消費の現場に影響を及ぼしている。ノートパソコンの販売も10月は前年同月比約25%減と落ち込んだ。耐久消費財は単価が下落傾向の中でも、販売が戻らない状況にあり、片岡剛士・三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員は「低所得者が消費税増税でお金がなくなり、耐久消費財を買っていない」と分析する。