7~9月期国内総生産(GDP)速報値は実質年率1.6%減で、事前の民間予測平均の実質年率2.47%増を大幅に下回った。民間予想と政府の統計にこれほど大きな違いが出ることは珍しく、多くのエコノミストが「ネガティブサプライズ」と驚きを隠さない。背景には消費税増税後という特殊な経済状況下で、企業の在庫調整の影響や設備投資の回復を読み切ることの難しさがある。
「在庫の減少が成長率のマイナスに寄与するとは思っていたが、これほどとは思わなかった」。同期の実質GDPが前期比2.2%増と予測していた日本総研の下田裕介副主任研究員は、自身も含む民間予測が大きく外れた理由をこう説明した。
在庫の減少はGDPの統計上はマイナスに働くため、7~9月期は結果として成長率を前期比0.6ポイント、年率換算だと2ポイント以上押し下げた。下田氏は前期比0.2ポイント程度の押し下げとみており、GDP速報値との開きが大きくなった形だ。
ただ、在庫の減少は先行きでみれば、プラスとなる可能性が高い。今回の統計が、4~6月期に積み上がった在庫が7~9月期で取り崩されたことを反映したものであれば、「在庫の調整が終わり、生産の増加など景気の持ち直しが期待される」(下田氏)ためだ。