同国政府はロードマップの一環として、産業育成と競争力強化のために6億ドルを拠出し、産業支援のための基金とする方向で調整を進めている。アルメンドラス長官は「フィリピンにとっては自動車だけの話にとどまらない。可能な限り多数の雇用創出につなげることが重要だ」とし、同基金の使途決定やロードマップの完成などを急ぐ考えを示した。
現地紙マニラ・スタンダードによると、こうした政府の方針について、フィリピン最大手でシェア45%を握るトヨタ・モーター・フィリピンズ幹部は「政府が業界にとってプラスとなる計画を策定していることを歓迎したい」と述べた。同社は生産優遇の対象車種として、フィリピン国内で生産している新興国向け戦略車のミニバン「トヨタ・イノーバ」を申請するとみられている。
同国のアジア・ザ・パシフィック大学の試算では、ロードマップの実行で自動車産業には410億ペソの投資と7万人の新規雇用が発生する見通しだ。1~9月の新車販売台数が前年同期比29.2%増の13万1381台と好調の自動車市場がさらなる活況を迎えるのか、政府のロードマップに注目が集まっている。(シンガポール支局)