原油価格が急落している。16日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は指標となる米国産標準油種(WTI)11月渡しが一時、1バレル=79.78ドルと、約2年4カ月ぶりの安値水準となった。世界経済の減速で需要が冷え込んでいるからだ。原油市場に流れ込んでいた投機マネーが、米国の利上げ観測でドル資産に回帰していることも相場を押し下げる。原油安に伴い、ガソリンや電気代も値下がりが続く。
「この1カ月の価格下落は予想外だ」
石油連盟の木村康会長(JX日鉱日石エネルギー会長)は、17日の会見で驚きを隠さなかった。アジア市場で指標となるドバイ原油が16日、1バレル=82.60ドルとなり、一カ月前と比べ12ドル以上も下落したからだ。
原油安の大きな要因が、世界経済の減速に伴う需要の減退だ。とくに欧州や中国市場で需要が低迷。国際エネルギー機関(IEA)が14日、2014年の石油需要の伸びについて、従来予想から日量20万バレルも下方修正したほどだ。