7月に財務省を退任した木下康司前事務次官が9月末に渡米し、米コロンビア大学の客員研究員に就くことが22日、分かった。「官庁の頂点」といわれる財務省の元トップが海外での研究活動に転じるのは異例だ。かつては「東大卒→官僚→天下り」が大物官僚の成功ルートともいわれたが、世論の風当たりも受け、その「第2の人生」は様変わりしてきたようだ。
木下氏は、昭和54年に大蔵省(現財務省)に入省。現在の香川俊介事務次官、田中一穂主計局長とは同期だ。国際局長や主計局長を経て昨年6月、真砂靖事務次官の後任に就任し、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」を予算編成や税制改革面で支えた。
国家公務員OBといえば長らく、出身官庁が所管する法人や関連企業への再就職が目立ってきた。主な進路先と指摘された独立行政法人では、平成16年に108法人のうち70法人のトップが官僚OB。高給の就職先を転々とする「渡り」まで横行した。とりわけ、財務省出身者は、政府系金融機関や地銀の幹部などが「指定席」とされてきた。