先進国34カ国が加盟する経済協力開発機構(OECD)は16日、多国籍企業の課税逃れを防ぐための国際的なルールづくりに向け、具体的な対応策を盛り込んだ報告書を策定し、公表した。各国の税制差を利用した企業の節税手口に対する対処方針を示し、各国での税金の取りはぐれを防ぐ。報告書は、20~21日に豪州で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で議論され、来年12月にルールを正式にまとめる予定。日本でも、今回の対応策を平成27年度税制改正に反映させる考えだ。
OECDは昨年7月、モスクワで開かれたG20で、課税逃れを防ぐ15項目から構成する行動計画を公表。今回は、このうち7項目に関する対応策をまとめた。
海外からインターネット経由で配信される電子書籍や音楽に消費税などが課税されない問題では、消費税のかけ方など4つの選択肢を提案。強制力はないが、各国はこの選択肢を基に国内法の改正を進める。日本は27年度税制改正で消費税法を改正し、海外ネット配信に対して消費税を課税することを検討している。
一方、法人税率の低い国に設立した子会社に、親会社の持つ特許や商標権といった無形資産を譲渡し、子会社に特許使用料などを集中させ課税を逃れるという多国籍企業の典型的な手口への対応策も提示。無形資産の価値を測る物差しは各国で違い、妥当な金額の算定が難しいため、報告書では商標権が将来、これだけの利益を生むという予測を基に現在価値を割り出す手法の導入などを示した。