環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉をめぐる日米の事務レベル協議と参加12カ国による交渉官会合が10日、終了した。だが、日米両国間では日本の牛・豚肉の関税に関する溝は埋まらず、12カ国全体でも知的財産保護など難航分野の着地点は見いだせていない。参加国が目指す11月の大筋合意は難しい状況で、日本政府内では旗振り役の米国の“本気度”を疑問視する声もあがっている。
今回の日米の事務レベル協議と交渉官会合は、政治決着の舞台となる日米閣僚協議と12カ国による閣僚会合開催の地ならしが狙いだったが、開催のめどはつかなかった。日本の政府高官は「(11月の大筋合意は)針の穴を通すようなものだ」と危ぶむ。
日米の事務レベル協議は9日から東京都内で開かれ、日本が関税を守りたい重要農産品5分野のうち牛・豚肉の関税の扱いが中心議題となった。大江博首席交渉官代理は終了後、記者団に「今回の進展は極めて限られていた」と膠着(こうちゃく)状態を打開できない協議の現状を明かした。