■実質賃金減に消費税増税が追い打ち
内閣府が8月13日に4~6月期の国内総生産(GDP)の速報値を発表し、衝撃が広がりました。実質GDPは前期比でマイナス6.8%(年率、以下同)で、東日本大震災時(6.9%減)に匹敵します。米経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」社説(14日の電子版)は「日本経済は4~6月期に崖から突き落とされた」と断じました。
◆家計消費の冷え込みが最大の原因
戦後最大級のGDP落ち込みの主因は、家計消費の急速な冷え込みです。民間最終消費支出は、年率でマイナス18.7%と、比較できる統計のある過去20年間では最大の落ち込みです。前回の消費税増税時のマイナス13.3%(1997年4~6月期)をも大きく上回っています。
安倍政権は、増税前の駆け込み需要の反動に過ぎず「想定内」だと主張していますが、増税前の1~3月期の増加分(8.5%増)を差し引いても10%以上のマイナスです。単なる「反動減」では説明できません。
今回の民間最終消費支出の対前期比は、年率換算前でマイナス5.0%ですが、民間シンクタンクは、5月から6月ごろにはマイナス2.3~3.3%程度と予測していました。最近になって「駆け込みが想定外に大きかった」などと言ってマイナス3.6~4.6%に下方修正していましたが、速報値は下方修正された予測をさらに下回ったわけです。
これは、単なる駆け込み需要の「反動減」にとどまらない、深刻な消費の落ち込みがあったことを示すものに他なりません。