2014.8.21 04:31
財務省が20日発表した7月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は9640億円の赤字だった。赤字は25カ月連続。欧州連合(EU)向けの自動車の伸びで輸出は増加に転じたが、火力発電用燃料の輸入増で減殺された。
25カ月連続の貿易赤字は現行統計を始めた1979年以降で最長。ただ、前年同月の1兆325億円の赤字からは赤字額が縮小した。
輸出は前年同月比3.9%増の6兆1886億円と3カ月ぶりに改善。英国向け自動車、中国向け工作機械や液晶用装置が増加した。
輸入は2.3%増の7兆1526億円と2カ月連続で増加。火力発電用燃料の液化天然ガス(LNG)や原油が増えた。
地域別では、米国との貿易収支が3.0%減の4837億円の黒字と6カ月連続で減少。自動車の落ち込みが響いた。一方、原動機や肉類の輸入が膨らんだEUとの貿易収支は495億円の赤字、中国も3216億円の赤字となった。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「輸出の回復は極めて緩やかで、その回復具合が貿易収支の方向性を決める展開になる」と指摘した。