パキスタンのインフラ整備で中国の存在感が高まっている。パキスタン計画・開発省によると、今年は両国の協力のもと、総額2594億パキスタン(P)ルピー(約2664億円)を投じて南部シンド州サッカルと東部パンジャブ州ムルタンの387キロを結ぶ道路建設事業や、首都イスラマバードとパンジャブ州ライコットの487キロを結ぶ高速道路建設事業(総額3790億Pルピー)などが着工する。資金は中国開発銀行など中国側が約90%を拠出する予定だ。現地紙エクスプレス・トリビューンなどが報じた。
中国は2013年にパキスタン南西部グワダル港の運営権を取得しており、天然資源などをパキスタン国内を経由して自国へ陸送することで資源輸入の安全保障強化を目指している。一方のパキスタンは経済成長を図る上で、遅れている輸送インフラ整備が不可欠とされており、両国の利害が一致している。
中国輸出入銀行によると、中国からパキスタンへの直接投資額は過去15年間で10億ドル(約1013億7000万円)だったが、今後5~7年間でエネルギー分野や輸送分野のインフラ整備などに320億ドルが投じられる見通しだ。
両国は道路のほかにも、今年5月にパンジャブ州ラホールの都市鉄道建設事業(総延長27.1キロ、総額12億7000万ドル)で合意するなど、鉄道分野でも協力関係を深めている。