石油元売り各社が持つ製油所の本格的な再編・統合が動き始めようとしている。経済産業省は国内の原油処理能力を約1割削減する新基準案を示し、23カ所ある国内の製油所の見直しを元売り各社に事実上要請。燃費性能が高い自動車の普及などエネルギー効率の改善や少子化を背景に国内の石油需要は減少が続いており、各社の収益構造も抜本的な改善が待ったなしだ。製油所再編を契機に大規模な業界再編が進む可能性もある。
設備過剰で業績悪化
「このままでは石油元売り各社は身動きが取れなくなる。今のうちに体質改善を図らなければならない」。経産省幹部は、再編の必要性をこう強調する。
経産省は6月30日、石油供給の在り方をめぐる有識者の委員会で、原油処理能力を2017年3月末までに最大で約1割削減する新目標を提示。エネルギー供給構造高度化法に基づき、元売り各社に対し10月末までをめどに製油所の合理化計画の提出を求めた。
元売り各社は既に原油処理能力の削減を進め、08年度に日量約489万バレルだった国内の原油処理能力は14年度は395万バレルと約2割減。それでも14年の国内の石油需要量は330万バレルとみられ、設備過剰が続く。もう一段の再編を経産省が求めているのはこのためだ。