2014.7.5 21:20
【オタワ=小雲規生】カナダの首都オタワで開かれている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉官会合は5日、各国の首席交渉官による本格的な協議を開始、日本からは鶴岡公二首席交渉官らが参加して知的財産保護に関するルール作りなど難航分野での調整を急ぐ。また関税の取り扱いなどに関しては個別の二国間協議も行う。
オバマ米政権は今回の会合を足がかりにして、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに協定文書案をまとめたい考え。文書案を議会に提示し、納得を得たうえで年内合意に向けた協議の加速を狙う。
ただ、米国ではAPEC首脳会議直前に中間選挙を控えており、「オバマ政権が協定文書案を示しても、議会を納得させるのは至難の業だ」(交渉筋)との見方が強い。豚肉や牛肉の生産者団体が日本に関税撤廃を強く求めるなか、議会が日本の市場開放が不十分な協定文書案に賛同したと受け止められれば、食肉生産量が多い州の議員らは有権者から反発を受けるためだ。
またTPPで市場開放を迫られる米自動車産業にもTPPへの警戒感が根強い。自動車大手で作る自動車政策評議会(AAPC)などは日本市場の閉鎖性や為替政策を批判してTPPに待ったをかけている。