2014.7.3 08:55
【ワシントン=小雲規生】環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉官会合が3日から12日まで、カナダの首都オタワで開かれる。今回の会合は、オバマ米大統領が目指す11月までの協定文書案作成に向けた試金石となり、日本が農産品にかける高い関税の扱いなどが大きな焦点となる。ただ、米国の議会や農業団体からは日本に関税撤廃を求める声が根強く、今回の会合で協定案作成への道筋をつけるのは容易でない状況だ。
会合では12カ国の首席交渉官による会議が5日から開かれるほか、各国による2国間協議も行われる。関税引き下げの水準や方法を協議するほか、知的財産の保護や環境基準に関するルール作りなどが中心的な議題になる見通し。日本からは鶴岡公二首席交渉官が出席する。
TPPを主導するオバマ政権は、11月までに協定文書案を作成して議会に提示し、最終合意に向けた交渉を加速するシナリオを描く。そのためには、今回の会合で協定文書案作成の下地を整え、早期に閣僚級会合を開いて決定する必要がある。
焦点となるのは関税をめぐる日米の協議の行方だ。1日まで東京で行った日米事務レベル協議でも、日本の牛・豚肉関税の扱いをめぐり、関税の引き下げ幅や引き下げまでの期間などを協議したが、両国の溝は残り協議継続となった。交渉筋は「関税をめぐる協議が終わらないとTPPの出口は見えてこない」とする。