□エネルギー安全保障
■ホルムズ封鎖 経済直撃
日本が抱えるエネルギー調達をめぐる脆弱(ぜいじゃく)性が世界にさらされている。40年前の石油危機を教訓に脱石油などのエネルギー戦略を展開してきたが、化石燃料への依存度は危機前の水準に逆戻りした。国内すべての原発の運転が停止し、火力発電所のフル稼働が続く中で、中東地域など海外で有事が起きれば、輸入燃料が途絶する事態もありうる。シリーズ最後となる今回は、原発の稼働停止で根底から揺さぶられているエネルギー安全保障を取り上げる。
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■原油の85%経由 LNG備蓄わずか2週間
「ホルムズ海峡が機雷で封鎖されれば、日本にとって死活的な利益が損なわれる。わが国の船舶が危険に遭う可能性が高い中で、自衛隊が機雷掃海できなくていいのか」
先月末、衆参両院で開かれた安全保障に関する集中審議。安倍晋三首相は憲法解釈を変更して集団的自衛権を行使し、シーレーン(海上交通路)防衛の一環として、停戦が実現する前でも自衛隊が海外で掃海にあたることができるようにする必要性を強調した。
昨年5月には米海軍第5艦隊がペルシャ湾で、日英仏など40カ国と共同で大規模な掃海訓練を実施した。この訓練では機雷を除去する掃海だけでなく、不審船への攻撃なども想定し、機雷によるホルムズ海峡の封鎖を示唆したイランを強く牽制(けんせい)するものとなった。