■①関税率 ②期間 ③緊急制限 ④特別枠
日米など12カ国が参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の首席交渉官会合が12~15日、ベトナム・ホーチミンで開かれる。続く19~20日にはシンガポールで閣僚会合が予定されており、交渉は大きな山場を迎える。牛・豚肉など重要農産品5分野の関税の扱いで対立してきた日米両政府は、関税率などの4条件を同時決着させる方針。一方、新興国も参加する今回交渉は知的財産権の問題なども焦点で、複雑な“連立方程式”を解くような協議となりそうだ。
12カ国が一堂に会するのは、2月にシンガポールで開催された閣僚会合以来、2カ月半ぶり。各国は首席交渉官会合で難航分野の解決に一定のメドをつけた上で、閣僚会合での大筋合意に持ち込みたい考えだ。
日本の鶴岡公二首席交渉官は10日、ホーチミンへの出発前、成田空港で記者団に「(交渉は)最終段階に差し掛かっていて、いろいろな課題をどのように組み合わせながら全体がまとまっていくのかというところにきている」と述べた。
この言葉通り、交渉全体の足かせとなっていた日米協議は「どう決着するかという方式が決まった」(甘利明TPP担当相)という段階までこぎ着けている。
交渉筋によると、重要5分野について(1)関税率をどこまで下げるか(2)引き下げにかける期間(3)輸入が急増した際に関税率引き上げを可能にする「特別緊急輸入制限(セーフガード)」の設定(4)低関税率の特別輸入枠の設定-という“4次方程式”から1つの解を導き、両国の妥結を図る方針で一致したという。