政府が4月下旬に閣議決定した2014年版中小企業白書では、起業希望者が大幅に減少するなど中小企業が置かれている現状について説明している。主な項目にスポットを当てて白書の内容を紹介する。
【起業・創業】12年の起業希望者は約84万人と、1997年の約167万人から半減した。全体に占める新規開業した企業の割合を示す「開業率」は、12年が4.6%。欧米と比べて低水準にとどまっている。
開業率が低い理由を、起業に関心のある人に聞いた調査では「起業した場合に生活が不安定になることに不安を感じる」が最多の36.9%。続いて、「個人保証の問題など起業に失敗した際のセーフティーネットが整備されていない」が33.8%、「起業に要する金銭的コストが高い」が30.8%だった。
【事業承継】12年の中小企業数は385万社と、09年比で35万社減った。経営者の高齢化も進んだ。事業承継について、準備をしていないとの回答が60代で約6割、70代で約5割を占めた。後継者の育成に掛かる期間では「3年以上掛かる」が中規模企業で9割超、小規模企業では8割超に達した。
白書では「早い段階から事業承継の準備に着手してもらうよう、きめ細やかな情報提供や意識付けが必要」と指摘した。