□幸福実現党党首・釈量子
--今月から消費増税が実施されました
安倍晋三首相は12日、自らが主催した「桜を見る会」で、「給料の 上がりし春は 八重桜」との俳句を披露しました。春闘でベースアップが続き、高揚した様子が伝わってきます。しかし、アベノミクスによりデフレ脱却に向かいつつあった日本経済に、消費増税が冷や水を浴びせかけることになるのは間違いありません。
安倍政権の支持率は、株高に支えられていたとみることもできます。しかし今年に入り、株価は下落傾向にあり、今月中旬には急落。週間では、リーマン・ショック直後の2008年10月以来の下げ幅を記録しました。その要因としては、ウクライナ情勢を受けた景気の下押し懸念や、日銀の追加金融緩和の見送りなどが挙げられます。その後、持ち直したとはいえ、マーケットがアベノミクスに寄せてきた期待感の減退は明らかでしょう。
アベノミクスのメッキがはがれ落ちようとしている今、安倍首相自身も正念場を迎えていると言えるのではないでしょうか。そこに追い打ちをかけるのが今回の消費増税です。
増税前の駆け込み需要の反動減から、景気の減速が懸念されるなか、政府は経済対策を柱とする13年度補正予算や、過去最高規模となる14年度予算の早期執行により、景気の腰折れを回避しようとしています。また、来年10月に予定されている消費税率10%への再引き上げについては、7~9月期のGDP(国内総生産)などを踏まえ、年内に判断する考えのようですが、おそらくはこれに合わせ、日銀に追加緩和を要請するなどして、景気失速回避を演出するものと思われます。
しかし、政府がなすべきは、場当たり的な施策ではありません。幸福実現党が一貫して訴えているように、民間主導の持続的な経済成長に向けた環境整備にこそ取り組むべきなのです。
経済の失速により安倍政権の命脈が尽きれば、集団的自衛権の行使容認などの重要課題がたなざらしにされかねません。
--歴史認識問題をめぐっては、河野談話の作成過程について、今国会中に政府の検証チームが結論を出すとしています
従軍慰安婦問題の決着に向けて、韓国側はさらなる謝罪などを求めているようですが、日本政府として毅然とした対応を求めたいと思います。北朝鮮情勢を踏まえれば、日米韓が連携して取り組むことはもちろん重要ですが、その足並みを乱しているのは韓国であり、わが国が卑屈な態度を取る必要はありません。
旧日本軍による従軍慰安婦の強制連行を認めた河野談話は、元慰安婦への聞き取り調査を根拠としていますが、最近では、調査自体のずさんさに加え、談話の文案作成への韓国側の関与も明らかになっています。
米国のみならず、オーストラリアでも従軍慰安婦像の設置が取りざたされる昨今、謝罪外交がいかに他国の増長を招き、国益を損ない続けてきたかは、誰の目にも明らかでしょう。
--幸福実現党は河野談話の撤回を求めています
私たちは、昨年末より「日本の誇りを取り戻す」キャンペーンを展開しており、その一環として、「『河野談話』の白紙撤回を求める署名」を呼びかけてきました。全国から寄せられた署名は実に13万筆を超え、去る22日、安倍首相宛てに提出したところです。
産経新聞とFNNの合同世論調査によると、政府による河野談話の検証の結果、「新たな事実が見つかれば、新しい談話を出すべき」との回答は7割近くにも及んでいます。安倍首相は河野談話の見直しを否定していますが、国民世論の高まりに耳を傾けるべきです。折しも来年は戦後70年の節目の年に当たります。正しい歴史観に基づく日本の姿勢を明らかにするために、新談話発表に踏み切るよう強く求めます。
憲法改正や国防強化の足かせとなっているのが自虐史観です。安倍首相はかねて改憲に強い意欲を示していますが、自虐史観を蔓延(まんえん)させた元凶である河野談話が撤回できないようでは、憲法改正は遠のくばかりであると指摘しておきたいと思います。
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【プロフィル】釈量子
しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。