【ビジネスアイコラム】米ソが冷戦のただ中にあった1957年に、ソ連は米国に先立って世界初の人工衛星スプートニクを打ち上げた。人工衛星は大陸間ミサイルの技術に直結するので、これは「スプートニク・ショック」と呼ばれ、ウォール街もパニックに陥った。ソ連は威信に満ち、西側資本主義諸国にとっては危機だった。翌年米航空宇宙局(NASA)が設立され、やがてアポロ計画につながり、69年になってアポロ11号が月に初めて人間を送り込んだことでようやくこの問題に決着がついた。
80年代頃のウォール街では、融通の効かない人物や性格の悪い人物がいると「コミュニスト!(共産主義者め)」と罵声を浴びせた。ハリウッド映画を見るまでもなくソ連は米国の不倶戴天の敵役であり「正義」に対する「悪」であった。
さらにその頃から東側の経済は共産主義の非効率が露呈して、単に「悪」であるだけでなく西側の繁栄に対する「貧しさ」というレッテルも貼られることになった。