2月の経常収支が黒字に転換し、市場では「2013年度を通して経常黒字を確保できる」との見通しが強まった。これにより、13年度は財政赤字との「双子の赤字」は回避される公算が大きくなった。ただ、14年度以降も貿易収支の赤字を止められず、経常赤字が定着すれば、年度を通して双子の赤字に陥る心配がある。新たな産業の担い手育成で輸出を増やし貿易収支のテコ入れを急ぐのか、海外投資先の配当など所得収支で稼ぐのか。安倍晋三政権は具体策を迫られている。
麻生太郎財務相は8日の会見で今後の経常収支見通しについて「液化天然ガス(LNG)や原油の値段、為替、金利の動向を見ていかなければいけない」と述べ、慎重な見方を示した。
火力発電向けのLNGや原油などの輸入量が一向に減らないことに加え、ウクライナ情勢の緊迫化など地政学リスクの高まりで国際市況の上昇も懸念されるためだ。