【論風】元経済産業事務次官・北畑隆生 正念場迎えたアベノミクス (1/3ページ)

2014.4.3 05:00

 ■成長維持へ大胆な財政出動を

 安倍晋三政権誕生前の日本経済は病気に例えれば「瀕死(ひんし)の重病」だった。「円高デフレ風邪」という悪性の風邪で電子工業などは、体力を消耗していた。1990年に世界一といわれた日本の国際競争力は、2013年には第24位に落ちた。(国際経営開発研究所《IMD》調査)。毎年の経済成長率は1%前後。中国、インドはもちろん、アジア諸国にも水をあけられ、1人当たりの国内総生産(GDP)でシンガポールに抜かれる事態となっている。経済成長の原動力である生産年齢人口の減少が90年以降続いているが、人口減少を克服して成長する経済政策に成功していない。いわば「糖尿病」を患っているのである。

 1000兆円を超える国の債務残高はなお増殖が続いており、早期に手術をしなければ死に至る「がん」である。前政権は、2段階の消費税増税という外科手術を決断したが、手術前に退陣した。主治医が交代したのである。

 ◆第三の矢は力不足

 安倍政権は発足早々、「三本の矢」、あるいはアベノミクスと呼ばれる経済政策を打ち出した。第一の矢である異次元の金融政策と第二の矢である機動的な財政政策は、的を射て、円高熱は下がり、デフレ風邪もほぼ解消した。新型抗生物質(金融政策)と点滴(財政政策)が効いたのである。

 新型抗生物質については、識者から副作用を心配する指摘もあったが、今のところその問題は生じていない。円安は、外国人投資家の株式投資を激増させ、株価は大幅に上昇した。高額商品の消費が伸び、輸出も一時的に増加した。

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