【南京(中国江蘇省)=河崎真澄、台北=吉村剛史】台湾で中国政策を主管する行政院大陸委員会の王郁●主任委員が初めて中国を訪れ、江蘇省南京市で11日、国務院台湾事務弁公室の張志軍主任(いずれも閣僚級)と公式に会談した。主管官庁トップ同士の公式会談は1949年の中台分断後、初めて。
会談冒頭、張氏は「両岸(中台)関係の後退を絶対に繰り返さないとの決心をすべきだ」と述べた。王氏は「両岸関係は新たな章に入った」とあいさつし、張氏に訪台するよう求めた。
会談では、主管官庁のトップ会談や当局間の公式協議の定期化などについて話し合われたもようだ。
中国側は、今年秋に北京で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場を利用し、習近平国家主席と台湾の馬英九総統の初めての中台首脳会談の開催を模索している。
また、中国で拘束された台湾人への「領事面会権」や、ビザ発給業務など領事館機能をもつ代表部の相互設置など実務的な課題もある。経済協力拡大なども確認されたようだ。
中台は互いの主権を認めず、これまでは“民間”窓口機関を通じて経済分野で交流してきた。馬政権下で始まった台湾の対中接近は新たな段階に入った。
中国は軍事的敵対状態の終結に向け、平和協定などを話し合う「政治対話」を要求、悲願とする台湾統一への流れを作りたい考えだ。ただ、台湾側は公式会談で覚書の調印などは行わないとして政治対話へのシフトを警戒している。
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【用語解説】中台公式会談
中国と台湾の交渉はこれまで、当局間の直接交渉ではなく、相互の民間窓口機関や政党間対話を通じて行われてきた。互いに相手側の主権を認めていないためで、中台関係は国際関係を扱う外交部門ではなく、双方の専門の担当部門が処理している。
●=王へんに奇