【ニューヨーク=黒沢潤】キューバと欧州連合(EU)が今月から、通商関係強化に向けた協定締結の交渉を始める。財政難にあえぐキューバとしては、2008年に対キューバ制裁を解除したEUから、直接投資を呼び込みたい考えだ。EU側は米・キューバ関係が膠着(こうちゃく)する中、キューバでの存在感を高め、人権問題の改善などに影響力を発揮したい思惑だ。
今回の通商関係の強化は、中南米・カリブ海諸国の宗主国の一つだったスペインが主導。オランダ外相も今年に入ってキューバを訪問するなど、通商交渉の実現に向けた“地ならし”をEUとしても続けてきた。
ロイター通信によれば、交渉は2月10日から始まる予定で、主に貿易・投資促進策を協議し、来年末の協定締結を目指すという。
EUにはキューバ産の葉巻やラム酒の輸入以外、通商の促進に大きな魅力はないが「経済交流を通じて現地で発言力を高め、人権改善などの面で国家の変革に寄与できる」(外交筋)との考えがあるという。
一方、キューバのラウル・カストロ政権が今回、交渉開始を受け入れた背景には、深刻な財政難に見舞われている国内事情がある。