経済産業省は19日、次世代エネルギーとして期待される水素の活用に向けた「水素・燃料電池戦略協議会」の初会合を開き、今年度内に産学官の具体的な方策を盛り込んだ工程表を策定する方針を決めた。水から取り出せ、環境にも優しい水素は資源の乏しい日本にとって「究極のエネルギー」とされる。政府は官民一体で水素が広く活用される「水素社会」の実現を目指す。
協議会はJX日鉱日石エネルギーやトヨタ自動車など関連企業の代表者や有識者で構成。初会合では、政府が予算や税制上の措置で企業の取り組みを後押しする必要性などが指摘された。
工程表は、東京五輪の開催される2020年と30年を重要な節目とし、水素の製造から貯蔵・輸送、利用までの各段階での産学官の役割分担や目標を明示する。
今回、経産省が協議会を設置して水素の活用促進に乗り出したのは、水素社会の到来が現実味を増してきたからだ。
日本企業は水素を活用する技術開発で世界に先行しており、09年には住宅で使う電気を供給する家庭用燃料電池を実用化。トヨタ自動車やホンダは15年に燃料電池車を市場に投入する予定だ。
水素の活用は、欧米も有望市場とみて取り組みを強化しており、日本は障害となる規制の緩和などを加速させる必要がある。