11月の貿易統計では、日本の貿易赤字の拡大傾向が鮮明になった。円安にもかかわらず、貿易赤字に歯止めがかからないのは、原油などのエネルギーの輸入が増えたことが主因だが、それだけではない。日本の高度経済成長期の輸出を支えてきた製造業に、海外移転の進展といった構造変化や世界的な競争環境の変化が生じていることも見逃せない。
2013年度の日本経済は、個人消費や住宅投資、公共投資の拡大により経済成長を確保する見通しだが、対照的に輸出の持ち直しは遅れている。産業界が経営環境の劇的変化に見舞われているためだが、その代表的な例が業績の立て直しを急ぐ電機業界だ。
13年の電気製品の輸入額は輸出額を上回り、電機産業が初の「貿易赤字」に陥る可能性が強まっている。電子情報技術産業協会(JEITA)と日本電機工業会(JEMA)の統計によると、13年1~9月の電子機器と白物家電を合わせた輸入超過額は約8080億円に達する。