【アジアの目】シンガポール、外国人受け入れに限界 人口の26%占める (3/3ページ)

2013.12.12 05:00

 仲介業者が問題に

 以前、カジノで有名となった大型ホテルの建設現場を取材したことがあるが、気候の安定しているシンガポールでは通常、24時間工事で建設作業員は交代で働く。この現場には作業員宿舎や大食堂も完備されていたが、多くの作業員は、人材紹介業者が用意した宿舎と現場の間をバスやトラックで往復する。

 悪質な業者にかかると、作業員が給料をピンハネされ、労働許可証を更新するためと言われ、多額の手数料を取られたケースもある。十数人が集合住宅の1つの部屋に押し込まれ、たこ部屋生活を強いられたことを以前、地元紙ストレーツタイムズが大きく報じたこともある。

 しかし、今回の暴動を受けてシンガポール人の間では、外国人労働者に対する同情よりも、シンガポール政府が進めてきた外国人労働者受け入れに関する政策への批判の方が強い。

 政府が運営する意見サイトREACHのブログでも「(与党の)人民行動党(PAP)は、数千人の外国人が来てもなお、シンガポールは調和がとれ、安全な国といえるのか」といった声や「シンガポール人はもはや自国のなかで少数派だ。政府の失政のために、生活費の高騰と給料の減少、低賃金の外国人労働者からの圧力にさらされている」などの意見が目立つ。

 ただ、外国人移民や労働者を受け入れ、国力の増大を図るというのは、リー・クアンユー元首相が推してきた政策だけに見直しは容易ではないだろう。息子のリー・シェンロン首相にとっては、なおさらだろう。(編集委員 宮野弘之)

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