シンガポールで開かれている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合で、たばこ規制の扱いが揺れている。米国は海外に事業展開するたばこ企業を保護するため、外国政府の急な規制変更に対抗できる手段の導入を主張。これに対し、新興国やオーストラリアは規制を各国が自由に変更できるよう導入に反対してきた。年内妥結を急ぐ米国は譲歩を示すが、メキシコも論戦に参加し協議が難航している。
米国が導入を提案するのは、「投資家と国家の紛争解決(ISDS)条項」。企業が外国政府の急な制度変更で不利益を被った場合に、国際紛争機関に提訴し、損害賠償を求めることができる仕組みだ。
米国は投資家保護を理由に、TPPの投資分野でも導入を推進しているが、米企業の巨額賠償請求を恐れる新興国やオーストラリアが反発。なかでも「たばこの扱いを巡り激しい駆け引きが行われている」(交渉関係者)。