モバイルネットワークや電子商取引(EC)、クラウドコンピューティングなどの技術が進歩を続ける中、スマートフォン(高機能携帯電話)市場の成長は著しく、中国のIT(情報技術)業界内では人材の争奪戦が激化している。
通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)では、(新人から入社数年までとなる)等級13~14級の若手社員の昇給に計10億元(約164億7000万円)超を充てる方針。平均で25~35%の昇給になるという。また2014年からの新卒採用者の初任給は、大卒で従来の6500元から9000元超に、修士課程卒業生は8000元から1万元に引き上げる方針だ。
◆初任給、大幅アップ
これについて華為の幹部は「意欲や発想力にあふれた若手社員こそが会社の業務を動かす主役であり、将来は幹部や専門家に育っていくため」と説明。初任給アップと安定した給与で新卒の優秀な人材を確保したい考えだ。中堅社員や管理職の昇給も進めているという。
同じく通信機器メーカーの中興通訊(ZTE)は、07年以来「ストックオプション(自社株購入権)激励計画」によって優秀な社員を選抜して優遇。今年は7月、1531人に計1億320万株のストックオプションを与えた。対象者は、研究開発者が50%、営業職が30%、管理職や幹部が20%の割合だった。
こうした動きについて業界関係者は「両社とも古参の通信関連企業として、インターネット関連企業への人材流出に危機感を募らせており、社員の離職を引き留める狙いがある」と指摘する。