個人の株式投資への意欲が高まっている。ネット証券大手7社の4~9月の売買代金は、半期ベースで7年半ぶりに過去最高を更新。来月5日には、株価の下落局面で借り入れた株を売り、下がったところで買い戻して利益を得る「空売り」に関する規制が緩和される。個人投資家の戦略の幅が広がることで、活況に弾みがつく可能性がある。
「空売り」規制が導入されたのは2008年10月。前月のリーマン・ショックによる株価の急落を受け、株安に拍車をかける空売りを緊急避難措置として規制した。直近の価格を下回る値段での空売り注文を原則、禁止したほか、発行済み株数の0.25%以上の株式を空売りした場合は、公表が義務づけられた。
しかし、それから5年がたち、東京株式市場の状況は一変した。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」などで昨秋から株価が急上昇する中、金融庁は今年3月、11月に規制を緩和すると発表。直近より低い価格での空売り注文を解禁したほか、公表義務が生じる基準も「0.5%以上」に緩和。リーマン・ショックや東日本大震災など「有事」が続いた株式市場の正常化を意味するものだ。