「危機感あるのか」米の政争打開へ結束 G20声明 “震源地”なお反応鈍く  

2013.10.12 22:04

 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が米国に財政問題の解決へ「緊急行動」を迫ったのは、世界恐慌の入り口という抜き差しならぬ状況が各国を結束させ、G20自らも事態打開へ動き出したことを示す。だが米側の反応はなお鈍い。

 G20の会場となった国際通貨基金(IMF)本部と目と鼻の先にあるホワイトハウスでは、デフォルト(債務不履行)回避に向けた協議が11日も続けられた。オバマ大統領は野党共和党の上院議員団と面会、ベイナー下院議長とも電話で会談した。

 共和党は前日に提案した6週間分の連邦債務の上限引き上げに加え、閉鎖された一部政府機関も暫定的に再開させる案を提示したとみられるが、合意には至っていない。

 麻生太郎財務相はG20閉幕後の記者会見で、米議会に迅速な行動を促す上で、「G20のメッセージが効果のある道具として使われるだろう」と指摘した。発言には、震源地のワシントンで開かれたG20が、膠着(こうちゃく)状態に陥っていた財政協議の打開に大きな役割を果たせるはずだとの読みがある。G20の議長国ロシアのシルアノフ財務相も「米国は可能な限りのことを実行すべきだ」とたたみかけた。

 シルアノフ氏によると、ルー米財務長官とバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長はG20で、デフォルトに直面するとされる17日までに「問題を解決する」と明言。米国は国際社会の圧力の前に、約束手形を切らされた格好だ。

 だが、注目のルー氏は記者会見すら開かず「大統領は政府機関の再開と債務上限引き上げを議会に要請している」と木で鼻をくくったような声明を出しただけ。一方で欧州や日本に構造改革や成長の加速を促し、「本当に危機の自覚があるのか」と白い目で見られても仕方なさそうだ。

 一時は進展の兆しも見えた財政協議も、大統領と共和党が駆け引きに終始。カーニー大統領報道官が記者会見で、債務上限の6週間分引き上げという共和党提案について「(11月下旬の)感謝祭休暇を前に全く同じことが起きる」と急場しのぎに過ぎないと指摘するなど、双方の溝はなお深いままだ。

 デフォルトが現実となれば、世界経済の大混乱とともにG20の威信まで地に落ちるだろう。米国もG20も剣が峰に立たされた。(ワシントン柿内公輔)

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