日銀が「異次元」の金融緩和策を導入してから4日で6カ月が経過した。金融緩和の指標とする世の中に供給するお金の量(マネタリーベース)は9月末時点で185兆円を超え過去最大となり、消費者物価も8月まで3カ月連続でプラスと一定の効果が表れている。ただ銀行の貸し出しやリスク資産への投資は想定以上に増えていない。所得・雇用環境も足踏み状態が続き、日銀が目指すデフレ脱却は道半ばだ。
「金融市場、経済、物価面で金融緩和が着実に効果を発揮している」
日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は会見で、異次元緩和導入からの6カ月をこう評価した。
日銀は2年で2%の物価上昇を目標に掲げ、市中に出回っているお金と金融機関が日銀に預けている「当座預金」の合計であるマネタリーベースを2012年末の138兆円から、14年末には2倍の270兆円に拡大させる計画だ。
当座預金残高は9月末に初めて100兆円を突破。異次元緩和導入前の3月末(約58兆円)から半年で約1.7倍に膨らんだ。当座預金の金利は低く設定されているため、銀行が企業向け貸し出しや株式などリスク資産に資金を回し、経済を活性化させることを狙っている。