原油高を背景に、ポリスチレンなどの石油化学素材の価格が軒並み上昇している。シリア情勢が混迷の度合いを増す中、石化素材の安定供給に対する不安も高まる。これらはペットボトルをはじめとする容器などの原料にも使われており、食品メーカーなどは価格改定やコスト削減などの対応を急いでいる。
関係者によると、ペットボトルなどの原料となるパラキシレンは、アジアでの価格指標となる「アジアコントラクトプライス」で、今月に入り1トン当たり1500ドル程度で推移。昨年7~9月の平均価格である1398ドルと比べ約100ドル上昇。食品トレーの原料となるポリスチレンも、1キロ当たり200~220円台だった2008年の水準を上回り、足元では240円台前後で推移する。
背景にあるのは、石化素材の原料とされる原油由来のナフサ(粗製ガソリン)価格の上昇。石化素材は「基本的には原油価格に共連れする」(大手メーカー)ナフサ価格に連動して値決めされるため、原油価格の上昇に伴い、昨年末から今年8月までに3割近く上昇したという。
石化素材の上昇は、ペットボトルや食品トレーなどの包材価格にも影響を及ぼしている。包装材卸・販売のシモジマは、為替相場の影響も含め4~7月にスーパー向けレジ袋などの商品を約1割値上げした。ただ法人向け販売については、「競合が厳しく、予定通りの価格転嫁は難しい。なるべく価格は吸収している」という。