太古は海底だったというテキサス州フォートワース。街の中心部から少しはずれると見渡す限り地平線が続く広大な土地が広がる。その地下深くに岩石層の「バーネット・シェール(頁岩(けつがん))層」がある。現在、米国の経済構造を激変させるだけでなく、世界のエネルギー地図をも塗り替えつつある「シェールガス革命」は、今から10年以上前、この地で始まった。
昼夜問わず響く騒音
広大な土地を貫く道路沿いには、テニスコート4面分ほどのフェンスに囲まれたシェールガスの井戸が点在する。掘削機がうなりをあげている場所も多い。鋼管を満載したトラックや水を運ぶタンクローリーがひっきりなしに道路を行き交う。
シェールガスブームが訪れる前は考えられなかったほど活況に沸く町には、また、そのゆがみも表れ始めた。
市内の幹線道路を一本外れ森を進むと、静かなたたずまいの東南アジア風の住居に突き当たった。シェール開発に異議を唱える金融コンサルタント、デボラ・ロジャースさん(51)の自宅だ。