2013.8.24 07:00
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉会合では、今月末まで続く事務方の作業部会も調整が本格化している。なかでも特許や著作権の保護期間などを決める「知的財産」や、輸出品にかかる関税の撤廃を扱う「市場アクセス」、国有企業の優遇措置撤廃の3分野で、難航する協議を前進させられるかが焦点だ。
新薬特許で対立
今会合で22~30日と最も時間をかけて議論するのが知的財産だ。期間中は各国が午前9時から午後6時過ぎまで集中的に話し合い、日本の交渉官は初日から「かなり疲れた顔をしていた」(交渉関係者)。
背景には、新薬の特許をめぐる米国と新興国の対立がある。世界的な製薬企業を抱える米国は、新薬開発を促すため特許期間の延長を提案。これに対して、マレーシアなどは特許が切れた安価なジェネリック医薬品(後発薬)の製造が妨げられると反対している。
著作権でも米国は保護期間を権利者の死後70年にするよう求めており、日本が小説や音楽で設定する50年は延長を迫られる。今会合では海賊版の取り締まり強化などで前進を目指すが、「特許などの期間延長は、各国内でも(製薬と後発薬企業などの)賛否が分かれる。最終的な解決策を見いだすのは難しい」(同)。