韓国で国有企業の債務が増大し、国の経済に影を落としている。現地英字紙コリア・ヘラルドによると、同国の国有企業28社の合計債務残高は2012年末時点で前年比8.7%増の392兆9600億ウォン(約36兆1520億円)となった。国の借金445兆2000億ウォンに近づくまでに債務がふくれあがったことを受け、専門家は韓国経済を脅かす恐れがあると警告している。
企業別の債務残高では、韓国土地住宅公社が138兆1000億ウォンで最大となっており、以下、韓国電力が95兆1000億ウォン、韓国ガスが32兆3000億ウォンと続く。専門家は、李明博(イ・ミョンバク)前大統領政権の主導による国内外のインフラ関連大型プロジェクトや、国外の資源開発計画への出資が響いたとしている。政府が公共料金の価格を低く抑え、負担を国有企業に押しつけているのも要因だ。
韓国ではこれまで、国有企業は銀行から政府保証による低利融資を受けるなど、国の強力な後ろ盾を得て強気の経営を推し進めてきた。しかし、近年は格付け世界大手のムーディーズなどが経営状況に疑問を呈し、「韓国にとっては朝鮮半島情勢よりも差し迫った危機」と指摘するなど、改革を求める声が強まっている。(ソウル支局)