もっとも、中国がこんな子供だましの手法を多用するのには理由がある。日本では長く、政治家もメディアも、この「会わない作戦」に簡単に動揺し、譲歩を重ねてきたからだ。
例えば平成22年9月の中国漁船衝突事件で当時の菅直人首相は、同年11月に予定されていた日中首脳会談の中止をほのめかされると「ベタ折れ」(外務省幹部)し、中国人船長を超法規的に釈放した。自民党の丸山和也参院議員によると、当時の仙谷由人官房長官は「(中国への)属国化は今に始まったことではない」と開き直りすらした。
一方、著書で日中関係の「政経分離の原則」を説いたこともある安倍首相は周囲にこう漏らす。
「5年、10年(要人の)会談がなくても、それでいいんだよ。日本の経済力が強くなれば問題ない。中国が尖閣問題であれだけめちゃくちゃやると、日本の国民世論も乗せられない。中国は墓穴を掘った」