2013.3.5 08:00
「やれることは何でもやる」「量的にも質的にもさらなる緩和策が必要だ」
次期総裁候補の黒田東彦氏の国会聴取では、経済再生策の柱に大胆な金融緩和を掲げる安倍晋三首相にとって、胸のすく発言が歯切れ良く飛び出した。
これまでの金融政策に不満を持つ安倍首相は、デフレ脱却への意思を明示する物価目標の導入をめぐり、政府からの独立性を定めた日銀法の改正をちらつかせるなど、日銀の白川方明総裁との間に冷たいすきま風が吹いている。
対照的に、黒田氏の答弁は安倍首相の意向に100%応えた形で、政府・日銀が一体になっての強力なデフレ脱却策を期待する市場からも「安心感があった」(大手証券)と、好評価が挙がった。
総裁候補に名前がとりざたされた当初、黒田氏は円高是正に効果のある日銀による外債購入に否定的なため、緩和姿勢が弱いとする評価が一部にあった。外債購入に慎重なのは、同氏が為替政策を所管する財務省出身であることが理由との観測も浮上。これが国会での同意を得るうえでの障害になりかねないとみられていた。