国土交通省は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の一環として、今年の訪日外国人旅行客の目標に過去最高の1000万人を掲げた。円安を追い風に東南アジアからの集客を強化する計画だ。ただ、沖縄県・尖閣諸島問題などをめぐる中国や韓国との緊張が続くなか、訪日観光を牽引(けんいん)してきた中韓両国からの客足が鈍る可能性があり、目標を達成できるかは不透明だ。
中国からの1月の訪日客は春節(旧正月)時期が昨年とずれた影響があるものの、前年同月比47.6%減の7万2500人。昨年9月の尖閣諸島の国有化以降、「個人やビジネスは戻りつつあるが、団体客回復の見通しが立たない」(航空業界首脳)状況で、政府の昨年の訪日客目標「900万人」の達成を逃した一因にもなった。
国別訪日客最多の韓国はアベノミクス効果による円安や格安航空会社(LCC)の相次ぐ就航で1月の訪日客は同35.2%増の23万4500人と急回復した。しかし、島根県・竹島をめぐる対日感情悪化の影響もあり、今後の情勢は予断を許さない。