「レジームチェンジ(体制転換)」。政府・日銀の共同声明がまとまった22日、安倍晋三首相がデフレ脱却への決意を示す表現として選んだのは、マクロ政策の大転換を意味する言葉だった。
一方、政策転換を迫られた日銀の白川方明総裁も「2%の物価安定目標はできるだけ早期に実現したい」と表明。政府と日銀は2%の物価目標をめぐる約2カ月間の攻防を経て、「アベノミクス」の行く末に責任を負う運命共同体になった。
早々と抵抗諦め
「安倍氏は日銀改革を進めることが経済再生の近道と考え、そのためには世論の支持が必要と判断した」。安倍氏に物価目標の導入を進言した有識者はこう話す。安倍氏は2012年12月の衆院選でも「中央銀行の金融政策」を争点に掲げる戦術に出た。
日銀内では「極めて異例な選挙」と拒否反応があったが、安倍氏の日銀改革の姿が明らかになるにつれ、金融市場は円安・株高への反転速度を高め、国民は景気回復の期待を抱いた。