金融庁は10日、証券会社や保険会社も対象とした新しい金融危機対応制度を創設する方針を固めた。公的資金の注入先を銀行や信用金庫などから証券や保険へも広げることが柱。救済の枠組みを拡大することで、リーマン・ショックのような大規模金融危機への対応を万全にする狙いがある。
12日の金融審議会(首相の諮問機関)で原案として提示する。年内をめどに最終案をまとめ、早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する。公的資金注入の対象を拡大するのは、証券や保険会社も大規模なデリバティブ(金融派生商品)取引などを行っており、経営破綻すれば他の金融機関への影響が広がる恐れがあると判断したため。
原案では証券や保険会社が経営危機に陥った場合、債務超過でないことを条件に、預金保険機構が金融商品を買い取る形で公的資金を注入。公的資金に損失が生じた場合は、事後的に業界に負担を求める方針。
ただ、過去に国内の証券や保険会社が経営破綻した際に金融システムへの影響が少なかったことから、費用負担への反発や対象拡大への慎重論は根強い。