政府は国内景気が後退局面に入っていることを認めたが、製造業ではすでに減産などの動きが相次いでいる。裾野が広く関連産業への影響が大きい9月の自動車販売は1年ぶりに前年同月比でマイナスとなり、一部で生産調整が始まっている。半導体や家電も世界的な景気減速を受け、足元の生産を縮小。工場の閉鎖や人員削減などリストラも加速している。円高などの利益圧迫要因も重なり、回復の見通しは立っていない。
自動車の生産減は、9月末にエコカー補助金が終了したことが主因だが、ある自動車大手幹部は「補助金はもともと7月末に底をつき終了するとみていたが、9月末まで続いたのは売れてない証拠」と補助金効果そのものも景気低迷で減速したとの見方を示す。
ダイハツ工業は9月から生産調整に入っているが、10月に入って工場の休日を増やし、来年2、3月の繁忙期に操業度を高める計画だ。他社も補助金切れによる減産に入っているとみられ、景気を支えていた自動車の息切れが目立つ。
半導体や家電各社も、減産の動きが止まらない。東芝は四日市工場(三重県四日市市)で生産しているデジタルカメラなどに使われる半導体を、7月から従来比で3割減産している。生産調整はリーマン・ショック後の2009年以来、3年ぶりだ。