韓国の家庭の、おそらく最大の関心事の一つは子供の教育だ。富裕家庭では高額な進学塾で大学入試に備え、個人教師をつけて英会話も徹底的にたたき込む。将来、経営者や医師、弁護士など高所得層に入るための素養を身につけさせるのが親の責任というわけだ。結果的に、富裕層ではインターナショナルスクール(国際学校)に子供を入学させるのがブームだ。
国際学校は学費が年間最低でも2500万ウォン(約175万円)程度かかる。だが英語に習熟できるうえ、米一流大に進学するノウハウや将来の人脈まで得られるため人気が過熱。最近、大がかりな不正入試事件が発覚し検察が捜査に乗り出す騒ぎになっている。
子供に入学条件である外国籍を与えようと、1億ウォン(約700万円)で中南米やアフリカの不正旅券を買っていた金持ちが相次いで発覚。既に財閥家の子息や弁護士夫婦、元国会議員の嫁らが事情聴取され、検察は今後50~60人を呼び出す方針という。韓国メディアは、カネで子供の国籍を「洗濯」する「浅はか」な親などと報じている。
年末の大統領選では「富む者は富み、貧しき者は貧する」という社会の二極化対策が争点となっているが、こんな事件が明るみに出るたび、韓国社会のマグマがたまっていくような気がしている。(加藤達也)