日銀は23日開いた金融政策決定会合で、現行の金融政策の維持を全員一致で決め、追加金融緩和を見送った。政策金利を0~0.1%にするゼロ金利政策を維持し、国債などの資産買い入れ基金を70兆円規模に据え置いた。4月27日の前回会合で打ち出した追加緩和などの効果を見極めるべきだと判断した。ただ、欧州債務問題の再燃で、追加緩和圧力が強まるのは必至。足元では資金供給のための入札で「札割れ」が相次ぐなど政策余地が狭まっているだけに、難しい対応を迫られそうだ。
「基金増額を」の声
「強力な金融緩和姿勢は変わらない」。決定会合後の会見で白川方明総裁はこう述べ、為替、株式などの市場動向をにらみながら、さらなる追加緩和も辞さない構えを示した。
ただ「6月の次回会合で、資産買い入れ基金の増額を打ち出すべきだ」(エコノミスト)との声も上がる。欧州情勢の不透明感が強まり、世界の金融市場が不安定になっているからだ。
18日閉幕した主要国(G8)首脳会議では、緊縮一辺倒の欧州の財政運営を見直し、成長を重視する方針で一致。欧州連合(EU)は23日の非公式の首脳会議での検討を経て、6月末に合意することを目指している。