政府、東電国有化を決定 総合特別計画認定 柏崎刈羽再稼働も (1/3ページ)

2012.5.10 05:00

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 枝野幸男経済産業相は9日、東京電力の実質国有化を柱とする総合特別事業計画を認定した。2021年度までの10年間を対象期間とし、7月からの家庭向け電気料金の10.28%値上げや13年度以降の柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を明記。公的資金1兆円を7月にも資本注入して議決権の過半数を握り、国の管理下で経営再建を図る。国有化に抵抗してきた東電は、政府や原子力損害賠償支援機構との半年以上に及ぶ攻防に敗れた。

 公的資金3.4兆円

 資本注入では、議決権のある種類株と一定の条件で議決権付きに転換できる種類株を組み合わせ、議決権の過半数を握る。経営改革が遅れれば、保有比率を3分の2以上に引き上げ、政府主導で改革を進める。民間金融機関も新規融資などで1兆円を資金支援する。

 収支改善のため柏崎刈羽原発の再稼働を目指すとともに、コスト削減も徹底し、昨年11月の緊急特別事業計画で2兆6000億円と設定した10年間の削減目標を3兆3650億円に上積みした。

 料金値上げも順次実施する。計画に盛り込まれた電気料金改定案では、標準的な家庭だと値上げ適用後の料金は月額480円(値上げ率は6.9%)上がり、7453円となる。一方、夏場の夜間料金を安くして昼間の節電につながる新メニューを導入する方針も示した。また、算入対象を絞り込み計算し直した結果、企業向け料金では4月から実施している平均16.7%の値上げ幅を16.39%に圧縮する。

 一連の収支改善策で、12年度に約2000億円の赤字が見込まれる最終損益は13年度に黒字転換し、最終年度の21年度には約1100億円の利益を上げる想定だ。