【環球異見】3・11から1年 原発事故の混乱、世界が報道 教訓生かせるか (1/4ページ)

2012.3.5 11:05

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からまもなく1年を迎える日本を、海外メディアも注目している。特に民間有識者の調査報告書や米原子力規制当局者の会議記録から浮き彫りとなった原発事故直後の関係者の混乱ぶりを米紙は克明に報道。避難地域のルポも目立ち、世界の原発政策に大きな影響を与えた事故の教訓を振り返っている。

 京華時報(中国)~原発発展、新たな軌道に

 「3月11日」を前に、被災地の“今”を伝える中国メディアが増えている。中でも、放射能漏れ事故で人影が消えた福島第1原発の周辺市町村に焦点を当てたルポが目立つ。

 「1千頭以上の家畜が野生化している」「90%以上の家屋が荒廃し、クモの巣が張っている」「人煙がなく“鬼城(幽霊都市)”となっている」-。メディアを通して、放射能汚染の影響の深刻さが強調される中、中国政府が原発開発促進に向けた新たなプロジェクトを打ち出した。

 中国国家エネルギー局は2月21日、13項目からなる「原子力発電所安全技術研究開発計画」を発表した。福島第1原発の事故を教訓に、中国の原発の安全技術水準と複合災害対応能力を向上させるというものだ。

 22日付の北京紙、京華時報は「日本の原発事故以来、わが国の原発の安全性に関する態度は慎重になった」としつつ、原発関係者の言葉を借りて、「わが国の経済発展状況が必要とするエネルギー、そして省エネルギーの圧力という見地から見るに、原発の発展は必要不可欠だ。必要なのは安全基準をさらに高めることだ」と主張した。

 中国政府にとって、経済成長を支えるエネルギーの確保は至上命題だ。原発事故の惨状が思い起こされる「3月11日」を前に、あえて新たな原発推進計画を発表。共産党機関紙、人民日報(電子版)は「第3世代原子炉の国産化の基礎が固まった」と強調した。