しかし今後、引き締め政策が継続されていくと、産業全体の衰退はよりいっそう進み、成長率のさらなる鈍化も予測できよう。現に、8月中旬、モルガン・スタンレー社とドイツ銀行が相次いで中国の経済成長見通しを引き下げたことが報じられている。
こうした中で、中国の不動産市場からも衝撃的なニュースが飛び込んできた。今年8月の北京市内の不動産販売件数が09年以来の最低数値に落ちたことが判明した直後、同じ北京市内の不動産物件の平均価格は9月4日までの1週間で12・4%も下落したと、6日付の「新京報」などの地元紙が大きく報じている。
1週間の間に不動産価格が1割以上も落ちてしまうとはまさに「暴落」というべき異常事態だが、どうやら不動産バブルの崩壊はすでに首都の北京から始まっているようである。
落ちる一方の中国経済はこれで、いよいよ凋落(ちょうらく)の最終局面に突入しようとしているのである。
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【プロフィル】石平 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。