【石平のChina Watch】
8月18日、北京で行われた米中バスケットボール親善試合で吃驚仰天(びっくりぎょうてん)の大乱闘が起きた。なかでも、中国・人民解放軍所属の中国人選手が、米選手に馬乗りになって殴ったり椅子を投げつけたりして、異常な凶暴ぶりを呈していたことがとくに印象的であった。
乱闘が起きたのはバイデン米副大統領の北京滞在中である。バイデン訪中に際し、中国の胡錦濤国家主席・温家宝首相がそろって彼との会談に臨み、次期最高指導者の習近平副主席はその訪中の全日程にわたって同伴した。
中国側が最大の努力をして米国との関係強化を図り友好ムードの演出に腐心していたことがよく分かる。親善試合も当然、友好ムード演出の一環として催されたものであろう。
しかし、乱闘における中国人選手の異常な乱暴ぶりは、逆に友好ムードの演出を徹底的に壊してしまい、中国政府の外交努力に水をさすような結果となった。しかもそれは解放軍所属チームの行為であったから、ことさら問題なのだ。
解放軍のチームは、規律も統制も普通の民間チームより厳しいから、選手たちが政府肝煎りの「親善試合」で、やりたい放題の乱闘に出るとは普段ならとても考えられない。