国交省、観光地の渋滞解消へ AI活用に向けデータ収集

 

 国土交通省は7日、観光名所を車でスムーズにめぐるための環境整備に本格的に乗り出すと発表した。来月にも神奈川県鎌倉市や京都市で周辺道路の渋滞状況を人工知能(AI)で予想するためのデータ収集を始めるほか、訪日客が運転するレンタカーの事故防止に向けた取り組みを実施する。渋滞を減らして観光客の周遊箇所を増やし、地域活性化を図る狙い。

 AI活用のためのデータ収集では、車載した自動料金収受システム「ETC2.0」や街頭のカメラなどを利用。集めたデータをAIで分析し、道路が混雑する場所や時間帯などを予測する。細かい渋滞予測ができれば、警察が赤信号の点灯時間の変更や交通規制を行うこともできる。

 実験的にデータ収集を行う鎌倉市と京都市では、渋滞をコントロールするため一般道でも料金を徴収する「エリアプライシング」の構想が浮上しており、国交省は実験結果を踏まえ、課金制度の導入を検討する。データ収集は来年度以降も長野県軽井沢町や神戸市などで実施していく。訪日客によるレンタカー事故防止では、外国人のレンタカー利用が多い5空港周辺で、ETC2.0で急ブレーキなどの走行データを解析し、事故リスクが高い場所を割り出す。

 国交省によると、全国で渋滞が頻繁に発生する約9000カ所のうち約2割が観光地周辺となっているほか、2015年にレンタカーを利用した訪日客は11年の約4倍にあたる70万人に達しており対応が課題だった。

 ■観光振興に向けた新たな交通施策

 神奈川県鎌倉市、京都市/人工知能(AI)で観光地の人の流れと車の渋滞状況を予測・分析する実験を10月にも開始

 長野県軽井沢町、神戸市/今秋からAIでの渋滞緩和実験に向けた事前調査を進め、来年度以降に本格化

 新千歳、中部、関西、福岡、那覇の5空港周辺/訪日客のレンタカー利用に伴う事故が発生しやすい場所を割り出す調査を今秋以降に実施