久々のオープンカーである。今年1月の連載第1回でホンダ・S660、2月にマツダ・ロードスターを取り上げて以来。今回は国産現行オープンカーのトリとして、ダイハツのコペンを2週にわたって取り上げる。まずはその走りと真夏のオープン走行の快適度を実走検証していく。(文・写真 Web編集室 小島純一)
初代のイメージ踏襲 クラシックなセロ
2代目となる現行のコペンには3つのバージョンがある。最初に発売されたのは目つきの鋭い今風デザインのローブ。次にローブをベースにSUV風の加飾を施したエクスプレイを発売、そして最後に灯火類のデザインを丸くして初代のクラシックでファニーなイメージを踏襲したセロが発売された。今回試乗したのはこのセロだ。
3バージョンとも、シャシーとボディー内部の構造は共通で、ドアパネルを除く樹脂外装を替えることで別のクルマに仕立てている。この「Dress-Formation」という画期的アイデアについては次週の後編で触れるとして、今週はその走りに着目していく。
車体は軽いが音は野太い
大阪・池田市のダイハツ本社でクルマを受け取り、乗り込んでエンジン点火。ターボ付きの3気筒エンジンは、始動から野太い音を響かせる。スズキ・アルト ワークスの排気音も軽ながら太くて迫力があったが、あれよりもうちょっと官能的な音がする。回転を上げていっても太めの音が続き、軽という車格を忘れそうになる。これはいいぞ。
国道171号線を走り出すとすぐに車重の軽さを実感する。加速・操舵・制動の感覚がいずれも予想していたよりも軽快で、扱いにくいところがない。軽自動車だから狭い道もスイスイ通り抜けられるし、車庫入れも楽だろう。まさに万人に向けたスポーツカーというコンセプトがほんの短い一般道走行でもちゃんと伝わってくる。